冠詞5 無冠詞の表現冠詞がつかない場合さて、もうひとつ、冠詞使用の「例外」として文法書に取り上げられているのが、at schoolなどのように、可算名詞のはずの語になにもつかないという例である。 at や toやinなどのあとにくる school/ class / unversity / work / church / hospital / sea / town / home / bed などの語には冠詞がつかないことが多い。あるいは by train [car/ bus/ bicycle etc.] などにも。また、breakfast やlunch, dinner にも通常は冠詞をつけない。 ただこれらの語は、不可算の普通名詞なので、文脈によってはtheやaがついている。 冠詞をつけない場合は、それらの語を、場所や建物を表す普通名詞としてみているというより「機能」をあらわす抽象(だから不可算)名詞と見ていると考えられる。 She was sitting on the bed. 彼女はベッドに座っていた。 この場合のベッドは、普通の「モノ」として扱われる。彼女のいる部屋にあるベッドを指しているのは自明なので定冠詞のtheをつけている。 She was lying in bed all day. 彼女は1日ふせっていた。 この場合は、ベッドは本来の「横になり、眠る場所」としての「機能」を持っているものとして扱われている。こういう場合、冠詞をつけない。bedが本来あるべき機能を果たしているときは、モノとしてのbedはどうでもよくなってしまうのである(ちなみにこの表現では、単に寝ているというより、体調が悪いという含みがある)。 学生として学校に行くなら go to school だが、父母が先生に呼び出しくらって学校に出向くなら go to the school となる。 学園祭があるからと「とある」学校を訪れたなら go to a school とも言える。 breakfast やlunch, dinnerも、普通に I don't usually have breakfast. などと言うときは冠詞をつけない。これももはや「機能」と考えられているのである。だが例えば I had a Japanese breakfast today. きょうは和風の朝食を食べた。 のように形容詞がつくと、個別性が復活して不定冠詞がつく。 The breakfast at the hotel was very gorgeous. そのホテルの朝食はとても豪華だった。 これなら定冠詞もつく。 結局、「○○という名詞にはa/theをつける/つけない」という「規則」があるわけではない。最初の項で述べたように、the自体に「ほら、あの」「例の」「いわゆる」「あなたも私も知っている」「あなたもそのうちどれだかわかる、あの」というキモチがあり、それを言いたいときにtheと言って、それに個別の名詞を続けるのだ。 あるいは「とある」「たくさんあるうちからとりあえずひとつ取り出した」というキモチでa/anが出てきて、そこに名詞がつながっていくのだ。 日本人がつい、theのいらないところにtheをつけてしまいがちなのは、それがなんとなく英語らしいという理由以外に、自分としては自然に出てこない「英単語」を思い出したときに「『あの』○○という言葉!」と思ってしまうせいなのかもしれない。 前へ 次へ ジャンル別一覧
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